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デジタル EOS 原器でビンテージ Leicaを味わう:Canon EOS 5D Original + Leitz Hektor 12.5cm F2.5(1)

CanonNikonも今やミラーレスまっしぐらですが、ほんの数年前のEFマウントやFマウントの一眼レフ時代、Leica Mマウント用のレンズをCanonNikonの一眼レフで使う事はフランジバック長の問題でほぼ不可能でした。それを唯一可能にしたのがLeica Visoflexの存在でした。Mマウントボディに後付けのミラーボックスを追加したため、普通の一眼レフより飛び抜けてフランジバックが長くなり、Visoflex用のレンズは各社の一眼レフにマウントアダプター経由で装着する事が出来た訳です。

フランジバック - Wikipedia

このフランジバック長の差分をマウントアダプターで調整するわけです。

 

この連休は台風14号の日本列島縦断によりLeica MD Visoflex + Leitz Hektor 12.5cm F2.5による散歩写真はままなりませんでした。そのかわりに、Leitz Hektor 12.5cm F2.5 を以前デジタル一眼レフ Canon EOS 5Dに装着して撮影した写真を見返しつつ、その奥深い写りを紹介したいと思います。

目次

Leitz Hektor 12.5cm F2.5

Leica Mマウントの前身のL39マウント用Visoflexのポートレートレンズとして、1958年頃から1963年頃までドイツ本国とCanadaで製造されいたようです。自分の個体はCanada製と銘記されていますので、後期のモデルみたいです。

www.mir.com.my

筐体はアルミやステンレスではなく真鍮製でずっしり重いです。絞り羽根は20枚もあり、どの絞り値で撮影をしても背景に綺麗な玉bokehが写るのが特徴です。

弁当箱みたいにコンパクトに収納出来る工夫やフードの取り付け方のギミックなども特徴で、モノとしての作りこみにLeicaの並々ならぬ情熱を感じます。

レンズは意外とシンプルで、3群4枚構成です。

Hektor 12.5cm F2.5 optics

Leicaレンズに詳しい方だと気づくかもしれませんが、このレンズ構成はMマウント用のソフトポートレートレンズとして名高く、最近復刻販売もされたThambar 90mm F2.2 のレンズ構成と同じです。

Thambar 90mm F2.2 optics

Hektor 12.5cm の主な用途はスタジオでのポートレート撮影だったとの事ですので、当時のLeicaが考えたポートレート用レンズの理想の光学設計だったのかもしれません。

ところで、Hektorという名称、ギリシャ神話好きの方ならご存じかもしれませんが、トロイの木馬で有名なトロイア戦記でゼウスの息子アキレスに討ち取られる、トロイ王国の王子の名前です。当時の Leicaの技術者が自分の愛犬にこのトロイの英雄の名前を付けていたのだとか。トロイア戦記は長年、実在しない神話と考えられていましたが、考古学者の手によってトロイと考えられる遺跡が発見され、実話を神話的に伝承した可能性が考えられています。

ja.wikipedia.org

自分の作例紹介の前に、ビンテージカメラ販売で有名な「Flashback Camera」さんがいかにも このHektor 12.5cm らしい、素敵な作例を公開されていましたのでリンクを貼っておきます。全体に薄いベールを纏った中に芯があり、美しいポートレートです。

flashbackcamera.jp

Canon EOS 5D Original

今回Hektor 12.5cm F2.5を装着したのは現在のデジタルEOS躍進の礎となった初代EOS 5Dです。2005年発売ですから17年も前のカメラでスペック的にはもはやDinosaurですが、今でもはっとさせられる写真を映し出す名機と思います。デジタルEOSの原器とも言えるカメラであり、これからも使い続けたいカメラの一つです。

global.canon

Canon EOS 5DとHektor 12.5cm F2.5

作例

それでは作例紹介です。

Canon EOS 5D / Leitz Hektor 12.5cm F2.5

素敵なBokehが印象派絵画のような背景の描写を生み出しています。

Canon EOS 5D / Leitz Hektor 12.5cm F2.5

これも素敵なBokehで、背景がきれいに溶けていますね。合焦面はシャープだと思います。
ポートレートにぴったりのレンズです。

Canon EOS 5D / Leitz Hektor 12.5cm F2.5

ビンテージレンズとしては寄れるほうです。最短距離あたり。合焦面以外のぼやけ方が印象的です。Fマウントの銘レンズ、58mm F1.4Gの開放での写りを思い出します。

Canon EOS 5D / Leitz Hektor 12.5cm F2.5

ビンテージレンズなので逆光には強くないですが、それを活かした写真です。

本日はこれくらいにして、また明日、作例紹介します。

本日のおまけショット

Nikon Coolpix S01 / ラフモノクローム