普段の自分は、夏場の散歩撮影は爽やかな色合いの服や機材で出掛ける事が多いです。そんな時の写真機材の定番は明るい色のカメラとシルバーのレンズの組み合わせです。レンズはホワイトでも良いかもしれません。今日はそんなチョイスをして早朝のわんこ散歩に行ってきました。
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本日の機材:PENTAX K-S2 + Schneider Tele-Arton 90mm F4
APS-C判以上のカメラは黒と銀色が鉄板カラーなので明るい色のカメラってなかなか無いです。そんな中、PENTAXはかって、常時多彩なカラーバリエーション(カラバリ)をそろえていましたので、私もカラバリPENTAX機を所有しています。PENTAX K-S2 はそんなPENTAXの最後のカラバリ機種で、かつ、防塵防滴、最新の電磁絞りレンズにも対応した優れた機種です。もちろんボディ内手ぶれ防止機構を備えています。
PENTAXでシルバーレンズと言えばストレートにはLimitedシリーズだと思うのですが、曲球(くせだま)好きの自分は、Kodak Retina Deckelマウント用のSchneider-Kreuznach Tele-Arton を装着です。ぱっと見はLimited のパンケーキレンズ風ですね。焦点距離90mmでこの薄さは驚きです。
装着にはKマウント用のアダプターが必要ですが、ミラーレスカメラ用のように間延びした筒は必要ありませんので、見た目美しくビンテージレンズが楽しめます。 このレンズの歴史を説明するには小論文が必要ですので、1968年製造のKodak一眼レフ用Xenar型望遠レンズで、コーティングは単層です。とだけ述べます。
曲球と書きましたが、このレンズを入手した時、レンズの最短撮影距離刻印が1.9mである事を見て仰天してしまいました。0.9mじゃないの?!と。なかなかの曲者ですね。往時のKodak一眼レフオーナーの苦労がしのばれます。そしてフードが着かない、フィルターが着かない、です。Kodak Retina用なる特殊規格のフィルターを探しあて、そのフィルターの外枠に差し込み式の金属フードを装着しています。いぶし銀のWalzフードがビンテージの世界へと誘います。
作例
シンプルなXenar型で単層コートですので今日的な視点で見てしまうと色々ありますが、1960年代のポートレート用レンズとして見れば全体に薄くベールがかかり、絞っても劇的な変化は見せない事などはポートレート撮影目的には適ったものだったのかもしれません。
絞り開放。合焦面はベールがかかりつつもちゃんと解像しています。ボケは少しざわついて現代のレンズとは違う妖しげな感じです。
絞り開放。不思議な色合いの妖しげな写り。何なのでしょう?
ポートレートは無難にこなしました。絞り開放。薄いベールがかかってパキパキとは無縁の写り。
絞り8~10くらい(アバウトw)。依然薄いベールはかかってますが、全体的に普通な感じになります。
絞り開放。中程下、左端のコスモスに合焦させています。
最短合焦距離1.9mは撮影者泣かせですね。
感想
常に薄いベールがかかっている所が人によっては気になるかもしれません。けれど単層コートで小径、シンプルなレンズ構成を考えると今日的な写りを期待をする方が間違いかもしれません。LeicaのHektor 12.5cmというポートレート用のビンテージレンジを時々使いますが、Leicaがわざと収差を残して設計したThambar 9cmと同じ光学設計でやはり独特のベールがかかります。今日とはポートレートレンズの設計思想が違っていたのかも知れませんね。Hektor 12.5cmは私のお気に入りの一本です。
K-S2のMFエイドは合焦ポイントの点滅、ファインダー内合焦サインの表示、電子音と3つの情報で合焦をお知らせしてくれるので、絞り込まない限り撮影は快適でした。今回はAPS-Cカメラへの装着でしたが、いずれK-1にも装着してフルフレームでの印象も記録したいと思います。