SIGMA が SD シリーズを生産中止して久しいです(2年近くかな?)。
今日はシリーズ最高峰であった SD Quattro Hを久しぶりに持ち出して撮影しました。
SD Quattro Hはベースモデルの SD Quattro よりも若干センサーサイズが大きく、35mm フルフレームのクロップ換算率は1.35倍になります。焦点距離 50mm レンズなら 67.5mm相当、35mm なら47mm相当になります。
2世代前のSD15 との比較でまず感動する事が、「JPEGが使える!」という事ですw。
SD15のJPEG画像は基本、「使えない」ので、「FOVEONでの撮像はRAW現像が基本」という事が頭にすり込まれていましたので、これには驚きました。
撮影メニューで好みのカスタムイメージを選択し、撮影時に保存されたJPEG画像をそのまま使う。という、他メーカでは当たり前の手順なのですが、SD Quattro Hを使うとそれまでSIGMAカメラがオーナーに要求していたマゾヒスティックな心構えを、「今までゴメン。もう我慢しなくていいんだよ。」と言われたようで少し肩すかしを食らった感じです。
上のわんこの写真はカスタムイメージ「スタンダード」で撮って出し JEPGです。
そして下のわんこの写真は画像パラメータデフォルト設定でRAW現像して作成したJPEGです。
正直、彩度等のパラメータが違うだけで解像感とかは等倍ピクセルで比べても違いは良く分りません。
ましてや殆どのユーザーはスマフォやタブレット、良くてPCモニターでしか出来上がった写真を見ないと思いますので、実質RAW現像のステップは必要なくなったと思います。もちろん好みの色合いや雰囲気に仕上げたい場合は別ですが。
これは大変嬉しい進化である事は事実なのですが、一方で SD15で感じていた、RAW現像してみて初めて現れる精細な画像から受けていたインパクトは無くなったわけです。
もちろんQuattro Hの画像は下手なデジカメに比べると高精細で美しいです。一方で2020年を過ぎた今、等倍ピクセルでも解像しているカメラって結構各社から出ていると思います。自分の PENTAX K-1 IIも★レンズと合わせると、驚きの解像力を見せつけてくれます。
SD15や SD1 Merrill が現役だった頃ってこの2台に匹敵する解像力を見せつけるカメラって他社にはほとんど無かったと思います。だからこそ「FOVEONワールド」に惹き付けられるところが多かったわけですね。
SIGMA が SD販売を中止して、その頃発売予定だった35mm フルフレーム FOVEON機開発はゼロベースで仕切り直し、現在今後の予定はまだ未定のようです。
Quattro Hが、大変良いんだけれど、何かかってほどの驚きを受けない事実を考えると、35mm フルフレーム FOVEON機ってとてつもなく高いハードルを越えなければいけない気がしてきます。
かって、「FOVEONセンサーはカラーフィルターを通さないのでモノクローム撮影に向く」説もあったのですが、そのポジションもこれからPENTAXが取って変わろうとしていますので、今の時代の「これこそFOVEON」って何だろう?て考えたりします。
Quattro Hが美しい写真が撮れるカメラである事は間違いないのですが、何世代か前のEVF、燃費の悪いバッテリー、書き込みの遅いSDカード、等、相変わらずSIGMAらしい負の顔も持ち合わせたカメラなので、もし今後35mm フルフレーム FOVEON が世に出る機会があるとすると、誰もが驚くスペックやコンセプトを見せつけてもらえると良いな。などど勝手な事を感じているわけです。
今のSIGMAはレンズもボディもデザイン格好良いですし、Artレンズの写りも文句無しです。段々と具合の怪しくなって来たSD15 も まだまだ元気なSD Quattro H も自分はこれからも使い続けるつもりなのですが、最近は 同じくニッチながら、色々と新軸を打ち出すPENTAXに心惹かれるところが多いです。