Foto Anthem

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A CCD Moment ! PENTAX 645D

少し花冷えっぽい雰囲気の週末です。

開花の早かった今年はこの週末で桜の見頃も終わりという事で、春のCCD祭りも本日で一区切りです。最終回の今日は真打ち、PENTAX 645D です。

www.ricoh-imaging.co.jp

645Dは2011年発売ということで、干支が一回りするくらい前の古いカメラですが、何が良いかと言うと、センサーがLEICA M9と同じくKodak製のCCDである事です。しかもセンサーサイズはM9の 36mm X 24 mmより約1.7倍(正確には1.68倍)大きい 44mm X 33 mm。PhaseOneとかの商業用途以外ではLeica S2と並んで最大サイズのCCDです。

645D / FA645 45mm F2.8

フィルム機時代の645Nというブローニーセミ判(6cm x 4.5cm)フィルム機とマウントやデザインも統一している事もあり、RICOH/PENTAXは「645」という称号を使っていますが、実際のセンサーサイズは先ほど述べたように 44mm x 33mm で、セミ判より小さいベスト判の二眼レフ(4cm x 4cm)よりも更に小さいサイズです。これは何もPENTAXに限った話ではなく、LEICA や HASSELBLAD、FUJIFILM の「いわゆるデジタル中判」カメラも全て同等のセンサーサイズです。

645D / FA645 45mm F2.8

ですので、「いわゆるデジタル中判機」と35mmフルフレームデジタル機の違いは感覚的にはフルフレームカメラが主流になる前の最大サイズだった APS-Hセンサーとフルフレームセンサーとの違いくらいと捉えると良いと思います。

つまり、フィルム機時代には35mm判フィルムと645セミ判フィルムには誰が見ても分かるくらい解像感や立体感に差がありましたが、デジタルカメラでは35mmフルフレーム機と「いわゆるデジタル中判機」には見てわかる程の違いは無いと言えると思います。

645D / FA645 45mm F2.8

わんこの写真も立体感は出ていますが、これくらいかそれ以上にボケる大口径レンズはKマウントにもありますので、そういったレンズを使えばK-1でもこれ以上の写真は撮れると思います。

645D / FA645 45mm F2.8

じゃあなんで K-1よりも更にデカくて重い645Dをわざわざ持ち出すのかという事ですが、自分としては2つほどすぐに思いつきます。1つめは上の写真でわかるように、CCD独特の暗部描写、狭いラティチュード(デジタルなのでダイナミックレンジと言うべき?)による独特の描写です。これが実に(リバーサル)フィルム的な描写に繋がると感じている事です。

645D / FA645 45mm F2.8

2つ目はメカが奏でる音と振動(聴覚と体の触覚)という、極めてアナログ的なものです。これは電気モーターではなく、内燃機関エンジンを好む事と似ていると思います。自分はオートマティックではなくマニュアルミッションを好む事とも相通じるかもしれません。

マニアックな事をいうと、マルチよりもツイン、ツインよりもシングル、直列よりも対向やV型、と言ったところです。

645D / FA645 45mm F2.8

正直、645Dの大げさなシャッター音とシャッターチャージ音には痺れます。シャッターを切る度、脳内で何かが分泌されている事が分かります。ピクセル等倍鑑賞への影響が気になる向きには、分かりやすい大きなミラーアップダイアルが付備されています。

645D / FA645 45mm F2.8

今回使っているFA645 45mm F2.8 はフィルム機用のAFレンズですので、開放中心に撮影する自分の場合、十分な性能は引き出していないかも知れません。654Dの場合、35mmフルフレーム判での換算焦点距離は 36mmになります。絞り環付きで、フィルム機の645Nとも共用出来るのが美点ですね。

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645D / FA645 45mm F2.8

645Dや後継機の645Z用に、デジタル用途に設計されたレンズが何本か出ており、それらは現代的な高性能レンズが多いので、いずれ作例紹介したいと思います。これらのレンズが販売本数が出ないため、割高な価格設定なのがデジタル版645シリーズの弱点だったと思います。まあ後は、PENTAX自身が、高性能Sonyセンサーを搭載した K-1 を出してしまったのがとどめだったでしょうか。自分の場合、CMOS機はK-1で十分に満足をしています。

645D / FA645 45mm F2.8

PENTAXのカスタムイメージは優秀なので今回は全て撮って出しのjpegファイルを使いましたが、よりフィルムっぽさを求めたい時はDNGファイルからRaw Therapeeで現像したほうがそれらしい写真が出来そうな気がします。またチャンスがあれば遊んでみます。

645D / FA645 45mm F2.8

Kodak CCD はLeica M9もそうですが、ピーキーな感度特性です。すぐに暗くなったり明るくなったりします。2ストロークエンジン、大口径ターボです。そういう意味でもどちらもRawファイルで記録しておおいた方が安全かも知れません。

645D / FA645 45mm F2.8

今日は645Dと併せて持ち出したF6のVelvia撮影完了しました。優秀なF6がどこまで適正な条件を選んだのか、現像に出さないと。