Foto Anthem

Anthem for myself, my family, and every photo-lovers

近所にやって来た未来

百貨店の衰退は避けられない事実だ。

生き残るれるのは新宿、日本橋、梅田くらいだろうか。

私も永らく消費の中心はネットだし、衰退に貢献している一人なので何も言う権利はない。

かつて現実世界を離れて夢を感じさせてくれていた近所の百貨店が全フロア撤退し、複合商業施設としてリニューアルオープンしたので見物に出掛けてみた。

そこはかつてゆったりとした空間にDCブランドショップだったり、高級ホームウェアや和装店だったり、が展開していた場所だ。地下の食料品売り場は素敵な食材に高級パンや菓子類、小さな喫茶コーナーなどがエスカレーターから見渡せ、少し気分が高揚しながら下りていったものだ。

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リニューアルという事で、多少の浮ついた心で出掛けた自分の目に飛び込んだのは、中層階の広大なフロアに展開している「ガシャポンデパート」だ。無数に並ぶ簡易ギャンブル装置達は圧巻だけれど、かっての婦人服ブティック売り場の面影は微塵もない。ご婦人方の午後ティー向けの喫茶コーナーもあったっけかな。既に記憶がおぼろげだが。ひたすら眼前に広がる無人装置が100円玉を若者から吸い上げるのかと思うと心は少し沈み気味。

ガシャポンデパートの反対側に目を移せば、これまた無数に並ぶ簡易ギャンブル装置「UFOキャッチャー」だ。

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早速コインを投入して「面白~い」興じる人たちを横目に足早に冷えた気持ちでフロアを散策した。可愛いぬいぐるみ達が「あなたはお金落とさないね~」と睨んでいる。

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かつてエスカレーターから全フロアが見渡せ、時には買い物で疲れた足を休めた上品なコーヒーショップもあった地下の食料品売り場は、壁に阻まれ中の様子は窺えず、入り口に入店客の持ち物チェック監視員が立つ「安売り自慢スーパー」に変貌していた。

 

恐らく優秀なマーケッターが街の人々をプロファイル分析した上で、万を持してのリニューアルオープンなんだろうけれど、そのあまりの変貌ぶりに、安売り自慢スーパーのにこやかな監視員の冷たい視線の前で踵を返すしかなかった。自分も安売りスーパーでもちろん買い物するけれども、それはまだ夢の残り香がある百貨店跡にあるべきものでは無いのだ。

 

そんな昔の事ではないはずなのに、あの時代は一体どこに消えちゃったんだろうか。

それとも時計が動いていないのは自分だけで、本当は時間が加速して遠ざかり、未来も加速してやって来ているという事なんだろうか。