Foto Anthem

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小津安二郎のAGFA COLOR

日本を代表する映画監督 小津安二郎さんの作品をどういう訳か、自分はこれまで観る機会がなかったのですが、最近「発見」したBS松竹東急チャンネルで小津安二郎監督特集を組んでいたため、何作品か観る機会を得ました。

小津安二郎監督というと笠智衆さん主演のモノクローム映画の印象が強すぎて、カラー作品のイメージはなかったのですが、今回観た中で1958年の「彼岸花」は小津監督初のカラー作品でした。それはカラーというよりも「総天然色」という表現がピッタリとくる、現在主流の渋いカラートーンとは全く異なる、美しい作品でした。

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名作として知られる作品ですので内容には触れませんが、なぜそんなに「彼岸花」が美しい色彩に仕上がったかというと、小津監督は初のカラー作品を撮影するにあたり、フィルムに赤の発色に特長のあるドイツAGFA社のAGFA COLOR を採用し、ほぼいつも画面の小物に赤色(と朱色や黄色)を配して撮影するという、色彩の絵作りに配慮した撮影をしたからだという事を知りました。

作品のストーリー、昭和の大女優達の美しさや名演技はもちろん素晴らしいですし、小津作品常連の笠智衆さんも登場し名演技を発揮している作品なんですが、自分としては兎にも角にも、「AGFA COLOR」! 

小物達の赤色、朱色、黄色がほんとに効果的に美しい。赤いホーローケトルに色鮮やかなバヤリースオレンジとフルーツ盛り合わせ!山本富士子さんの朱色の帯に赤い長襦袢、芥子色の帯締め!昭和の色彩美に最初から最後まで感激していましたw。

豊かな色彩で有名だったAGFAの写真用フィルムも既に生産は終了していて、もう二度とAGFA COLORは楽しめないのがとても残念です。

せめて時々、本ブログではRaw Therapee でデジタル世界のAGFA COLORを楽しむ事にします。

以下の写真は PENTAX 645Dに AGFA のリバーサルフィルム PRECISA100 を装填して撮影した結果(のつもり)。

645D / FA 150mm F2.8 / AGFA PRECISA100

645D / FA645 MACRO 120mm F4 / AGFA PRECISA 100