晩秋をCCD機で楽しむ企画第5弾、いよいよ本日は大関の登場です。
そう、デジタルでフィルム写真の再現を試みた、FUJIFILM X Nikonのフュージョンモデル、FUJIFILM FinePix S3 Proです。各社がCCDを自社では開発しなかったのに対し、FUJIFILMが通称「ハニカムCCD」を自社開発し、Nikon Fマウントボディーとレンズを採用して出来上がったのがFUJIFILM FinePix Sx Proシリーズです。今から18年前の2004年発売でした。ハニカムって「恥ずかしがりな」という意味ではなく、「蜂の巣状」という意味です。
ちなみに2004年のヒット曲上位はこんな感じでした。
2位 Sign Mr.Children
3位 Jupiter 平原綾香
4位 花 ORANGE RANGE
なんだかとても懐かしいですね。
本題に戻ります。
FinePix Sx Pro シリーズはフィルムメーカーのFUJIFILMが全国に展開していた系列のFUJIFILMショップ(今日では都市部では見かけなくなりましたが、地方都市に行くと「フジカラー」の看板を掲げた写真機販売店兼写真屋さんをまだ時々見かけます)用に開発したデジタルカメラです。「Pro」という命名は、そういう事に由来します。S1 Pro、S2 Pro、と試作品のようなモデルが出た後、完成形として発売されたのがS3 Proモデルでした。
という事で、写真屋さんでの記念写真、証明写真撮影に使われる事が前提でしたので、Sx Proシリーズはフィルム写真のような写りをデジタルで再現することを企図して作られたモデルだったわけです。
ボディーはNikon のAFフィルム機 F80を元にバッテリーグリップ一体型に改造したもので、センサーサイズはAPS-Cです。Fマウント採用ですので、Nikonのレンズと組み合わせて使う事になります。FUJIFILM製センサーを内蔵するNikon機という、夢のようなモデルだったんですね。サイズ比較のため、F5と並べてみました。F5より一回り小さいですし、ベースとなったF80はプラボディーですので、F5を持った後だと超軽く感じます。
バッテリーはF5のように「単3電池も使えます」。ではなく「単3電池しか使えません」。ですw。
でも考えてみれば写真屋さんの現場での使い勝手を考えて、スタジオではDCケーブルで撮影し、オフライン撮影の時はササッと乾電池を詰めて使えるように工夫されていたのだと思います。まさに業務用のProモデルですね。エネループとかの単3形ニッケル水素充電池は使えない事はないのですが、ニッケル水素電池は少し電圧が低いためか、しばらく撮影すると直ぐに使えなくなります。ですのでアルカリ乾電池かリチウム乾電池で運用するのが実用的です。一般的なデジカメのような専用のリチウムイオン充電池は必要ないため、この先、機械が壊れない限り半永久的に使えます。
さて、このPro仕様のカメラには少しばかりレンズをおごって、Gレンズの銘玉、AF-S NIKKOR 58mm F1.4 G を装着しました。ぶっとさとNikonお得意の金バッチがちょっとインバランスな感じになります。
Sx Proシリーズには世界初となる、フィルムシミュレーションモードが搭載されています。今ではFUJIFILMデジタルカメラの売りの一つとなっている、「クラシックネガ」や「Velvia」モードといったカスタムイメージの原型になったものです。
実はちゃんと各フィルムシミュレーションモードの写りを比較確認したのは今回が初めてなのですが、S3 Proにはその通し番号に合わせた3つのシミュレーションモード、「STD」、「F1」、「F2」があります。
それではそれぞれのモードでの作例を比較してみましょう。
まず最初に「STD」モードです。
「STD」ですからStandardという意味なのですが、いきなり「来てます」。フジカラー全開です。
次に「F1」モードです。
こちらはぐっと抑えめ。現実色にかなり近い発色でコントラストもやや弱めです。
最後に「F2」モードです。
最初の「STD」モードに近いですが、更にコントラストが強くなり、一部は白飛びしております。フィルムで言うとラティチュード、デジタルで言うとダイナミックレンジが狭い設定のようです。
比較して分った事は、デフォルトの「STD」がすでにリバーサルフィルム仕様の設定であり、「F1」は富士フイルム自身が取扱説明書で「ネガフィルムのような」と表現しているように、クラシックネガと言える仕上げのようです。そして「F2」は今で言う「Velvia」モードに相当すると思います。
今後、当ブログではSx Pro のシミュレーションモード各々を「STD = PROVIA」、「F1 = FUJICOLOR」、「F2 = Velvia」と命名して表示したいと思います。「F1」や「F2」では分りませんので。
ここで既に2000文字を軽く超えておりますので、続きは次回、他の作例とともにこのカメラの魅力を引き続き堪能したいと思います。