Foto Anthem

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Daguerreo-type Achromat 64mm :ベールと結像のバランスを考える

前回に続き、Lomography のArtレンズ、Achromat 64mm F2.9 について記録します。

このレンズはあまり絞り込んで使った事がなかったので、2年前に撮影したのと同じ場所に同じカメラ(EOS Kiss X7)との組み合わせで散歩撮影に出掛けて来ました。

Waterhouse式開放用絞りプレートでF2.9、その上はF4、F5.6、F8、F11、F16と続くのですが今回はF5.6、F8、それと F6.3 相当のArtプレートの3枚を使用してみました。F11、F16は回折による画質低下の可能性があるので特殊用途プレートと考え、外しました。

 

まずは出掛ける前に室内撮影。F5.6です。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

室内撮影なので ISOが上がっている事を考えると、まあまあの結像になっていますね。よく見るとフォーカス面にも薄いベールがかかっているのですが余分な光が入って来ない条件だとソフト効果は弱まるのかも知れません。こういった光線条件の時はF4くらいが個性を感じる写りになるかも知れません。

Lomography によると、このレンズは「F5.6以上でシャープな写り」となっていますので、まあその通りかもしれないという印象です。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

同じくF5.6で屋外撮影。室内の時より全体的に少しハレーション気味の結像に感じますがソフトレンズとしてはシャープに写っているように感じます。でもこういう写真だと、「解像のあまり良くない安レンズ」の写りと言えなくもないので、シャープになって喜ぶのもちょっと違うかな。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

F8で遠景。確かにベールは大部分解消されていますが、もともとレンズが凹凸1枚ずつの2枚だけ、つまり写るんですやチェキレベルなので、遠景の解像は良くないですね。風景をシャープに撮りたいヒト向けでは無いです。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

同じ場所でF6.3のArtプレートに交換してみました。このレンズの雰囲気ですね。

Artプレートはノーマルの絞りプレートに比べて、独特のベールがプラスされているように感じます。より絵画的になる印象です。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

Artプレートで玉bokehがお日様模様に。他にも同じF6.3相当でいくつかの模様のプレートがあります。わんこのフォーカス面は、ボヤッと見える結像ですが、よく見るとしっかりしたフォーカスの芯はあります。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

拡大すると結像面と纏ったベールのバランスが良く解ります。この辺りのバランスがこのレンズには合っているようです。F6.3をArtプレートの絞り値にした理由が分りました。

EOS Kiss X7 / Achromat 64mm F2.9

ちなみにこのレンズ結構寄れます。この写真はそこまで寄っていませんが、CanonAPS-C だとハーフマクロくらいの感覚で撮影出来そうです。

ソフトレンズってカリカリ至上の現在、人気ないレンズと思いますが、自分はこの硬質なシルバークローム仕上げとアンティークな造りが気に入っていますので35mmフルフレーム機でもまた持ち出そうと思います。